コーヒーのカッピング -準備するもの・評価項目・手順-
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ロースターで新しいコーヒー豆を仕入れたときや、日々の焙煎度のチェックに度々行うカッピング。今回は、カッピングを行うときに「準備するもの・評価項目・カッピングの手順」についてのお話しです。
5分の動画でカッピングの概要を掴む
今回ご紹介するカッピングの手順は、動画でも紹介しています。5分ほどで全体像がつかめる上に、テキストだけでは伝わりにくい部分が見て分かります。ぜひご覧ください。
コーヒーの味がどんどん分かる!コーヒーのカッピングの手順を紹介
カッピングのメリット
ロースターでは、コーヒーの風味を確認するために 「カッピング」 という手法を使います。 カッピングの一番のメリットは、
- 抽出が簡単なこと
- 誰が入れても同じように抽出できること
- 複数のコーヒーを同時に用意できること
そのため、コーヒーの風味を確認することに適しており、淹れる人によって風味が変わってしまうペーパードリップではなく、以下の方法でコーヒーの風味を確認します。
カッピングで準備するもの
カッピングを行う前に以下の用具を準備します。
- カッピンググラス:同じものを複数個
- おすすめは満水で200ccになるもの
- カッピングスプーン:1-2本
- 大きめのスプーンでも良い
- 通常のスプーンより深く柄が長いため、カッピングしやすい
- グラス:スプーンについた粉や液体をゆすぐために使用
- 紙コップ:満腹感を避けるため口に含んだコーヒーを吐き出す場合は準備しておく
- コーヒー豆:10g/1種類
- お湯:180ml/1種類
- コーヒーミル
- ペーパータオル:洗ったスプーンを拭く
- キッチンスケール:お湯の量を計る
- タイマー/時計:クラスト、ブレイクの時間を計る
記録に必要なもの
カッピングシート(Cupping Sheet)
カッピングでは、同時に複数のコーヒー豆の風味を評価し記録するため、専用の用紙「カッピングシート(Cupping Sheet)」を使います。
フレーバーホイール(Flavor Wheel)
また、香りと風味を表現する語彙が「フレーバーホイール(Flavor Wheel)」として体系化されており、カッピングの風味を表現するときの共通言語となっています。手元にあると表現力の助けとなります。参考にしてください。
カッピングの評価項目
カッピングの評価項目は、大きく「アロマ(ドライ、クラスト、ブレイク)」「デフェクツ(欠点)」「その他の8項目」に分けられます。
- AROMA アロマ(香り)
- - DRY(ドライ)
- - CRUST(クラスト)
- - BREAK(ブレイク)
- DEFECTS(欠点)
- CLEAN CUP(透明さ)
- SWEET(甘さ)
- ACIDITY(酸味)
- MOUTH FEEL(口当たり)
- FLAVOR(風味特性)
- AFTER-TASTE(余韻)
- BALANCE(バランス)
- OVERALL(総合評価)
アロマでは「コーヒーを口に入れる前までの香り」に関する要素を評価します。
その後、コーヒーを口に含み、8項目のクリーンカップ (透明さ)、スウィートネス (甘さ)、 アシディティ (酸の質)、 マウスフィール (口当たり)、 フレーバー (風味特性)、アフターテイスト (余韻)、バランス、 オーバーオール (総合評価) をみていきます。
そして、アロマや8項目を評価しながら、デフェクツ(欠点)を記載します。
カッピングの手順
ここから、カッッピングの手順をお伝えします。
※手元に「カッピングシート(Cupping Sheet)」があると分かりやすいです。
1. コーヒー豆10gを粉にする
カッピングを行うコーヒー豆を、粉にします。挽目は粗すぎず細かすぎず、ペーパードリップと同じ挽目でOKです。豆ごとに挽目を変えることはせず、すべて同じ挽目で統一します。
2. 香りをかぎ、[アロマ-ドライ] を評価する
- コーヒー豆を粗めに挽く
- カッピングボウルに入れる
- カッピングフォームのDRY(ドライ)の箇所に、良い香りか悪い香りか「-3」~「3」の点数を記入します。
3. お湯を注ぐ
粉の入ったすべてのグラスに、お湯を180cc入れます。200ccのグラスであれば満水まで入れるとほぼ180ccになります。
4. 香りをかぎ、[アロマ-クラスト] を評価する
お湯を注いだ直後の香りをかぎます。カッピングフォームの CRUST(クラスト)の箇所に、良い香りか悪い香りか「-3」~「3」の点数を記入します。
- 粉にお湯を注ぐ。湯温は沸かしたてでOK。湯量は180cc
- 1杯目にお湯を注いだら、時間を計る
- すべてのグラスにお湯を注ぐ
- すべてのカップの香りをかぎ、カッピングフォームに点数とコメントを記載する
5. 注湯から4分後。混ぜて香りをかぎ、 [アロマ-ブレイク] を評価する
最初のグラスにお湯を注いだ時から4分経過後、 コーヒーの粉を混ぜます。混ぜ方にコツがいるため、動画をご参照ください。
別々のコーヒーの味が混ざらないように、スプーンは水をいれたグラスで毎回洗います。
混ぜた直後に香りをかぎ、 カッピングフォームのBREAK(ブレイク)の箇所に、良い香りか悪い香りか「-3」~「3」の点数を記入します。
- 表面の粉を奥に押し込んで底に沈め、粉の底を上に持ち上げる
- それを3回繰り返し、混ぜる
- 混ぜたら、香りをかぐ(ブレイク)
- 次のカップを混ぜる前に、スプーンを水洗いする
- すべてのカップを混ぜ、香りを確認する
- アクを除去する(スプーンを2つ使うとやりやすい)
6. 手早くアクをとり、 10分間待つ
カッピングスプーンを2つ使ってアクをとります。 その後、最初のグラスにお湯を注いだ時点から10分経過するまで、放置します。目的は、抽出を進めることと、 温度を落ち着かせることです。
7. [8項目]を評価する
10分経過したら、アロマ以外の8項目を評価します。カッピングスプーンですくい、 ズッと音を立てて素早く吸います。 風味を確認したら、カッピングフォームに点数やコメントを記載します。
-
スプーンで液体を表面からすくいとり、ズッと音を出して素早く吸い込む
→液体を霧状にして、香りをしっかり感じるため
-
コーヒーを吐き出す
→満腹感を避けるため(もちろん、飲んでもよい)
- この動作を繰り返し、各評価項目ごとに点数とコメントを記載する
※具体的な点数の付け方は、別の記事で紹介します。
8項目の評価方法
クリーンカップ、スウィートネス、アシディティ、マウスフィール、フレーバー、 アフターテイスト、バランス、 オーパーオールの8項目を8点満点で評価します。 それらを合計した点数に36点を足した点数が、 その豆の点数となります。欠点がある場合には、 デフェクツ(欠点)項目で減点します。
- 各8項目を8点満点で評価する
- 各8項目を合計する
- その合計点に、36点を足す = その豆の点数
- 欠点がある場合は、 デフェクツ(欠点)項目で減点する
集中して、一口で1つの項目を評価します(「この一口は、甘さをみる!」 など)。「一口で全ての項目を評価しないこと」が正確に評価するためのポイントです。
スペシャルティコーヒーのスコアは80点以上
スペシャルティコーヒーのカッピングは、欠点の有無だけでなく、個性や質を評価し加点していく方式です。基準はカッピングスコア80点以上。84点以上を超える豆はトップスペシャルティと言われたりもします。
また、最近はCOE (カップオブエクセレンス) という品評会などの功績により、美味しいコーヒーが増えました。
私たちコーヒーショップで行われるカッピングも、スペシャルティかどうかを判断するSCA式から、より優れたコーヒーを評価するCOE式というものが主流になりつつあります。