コーヒーの生豆に賞味期限はある?ニュークロップ・パストクロップとは?|SCENE COFFEE NOTE
「コーヒーの生豆にも賞味期限はあるんですか?」
以前、こんな質問をいただきました。
普段みなさんが目にするのは焙煎された茶色いコーヒー豆なので、その前の状態である「生豆」の鮮度について考える機会は、あまりないかもしれません。
結論からいうと、生豆は「○か月を過ぎたら飲めない」というような明確な期限で考えるより、「時間とともに品質や風味が変わっていく農産物」として捉えるほうが分かりやすいと思います。
古くなったから、すぐ飲めなくなるわけではありません。
ただ、収穫から時間が経てば、コーヒーの味は少しずつ変わっていきます。
コーヒー業界では、収穫時期によって呼び方が変わる
コーヒーの生豆には、収穫からの経過によっていくつか呼び方があります。
収穫されて間もないものは「ニュークロップ」。
そのシーズンに流通している比較的新しい豆は「カレントクロップ」と呼ばれることがあります。
そして、新しい収穫の豆が出てきたあと、前年の収穫分として残っているものが「パストクロップ」。
さらに時間が経ったものを、業界では「オールドクロップ」と呼ぶこともあります。
ただ、このあたりの呼び方には厳密に世界共通の線引きがあるわけではなく、産地や流通時期によっても少し変わります。
ちなみに「エイジドコーヒー」は、単に古くなった豆とは少し意味が違います。
意図的に一定期間寝かせ、その変化自体を風味として楽しむものもあるので、ここは分けて考えたほうがよいでしょう。
新しい生豆は、明るくフレッシュな風味が出やすい
新しい生豆は状態がよければ、焙煎したときにも明るい酸味や香り、その豆らしい鮮明な風味を感じやすい傾向があります。
時間が経つにつれて、その鮮やかさは少しずつ落ち着いていきます。
SCAも、生豆は時間の経過とともに鮮やかな色が薄れ、香りや風味が穏やかになっていくと説明しています。
コーヒーによって変化の速さは違い、保管環境によってもかなり左右されます。
パストクロップになると、ニュークロップほどの華やかさはなくても、角が取れてマイルドな印象になることがあります。
だから、新しい豆が絶対においしくて、少し古い豆はダメというわけでもありません。
ここは僕も、豆の使い方によって分けて考えています。
用途によって生豆を使い分ける
SCENE FACTORY COFFEEでは、期間限定のシングルオリジンなど、その産地ならではの個性をしっかり楽しんでもらいたいコーヒーでは、できるだけ新しいクロップを意識して仕入れています。
華やかな香りや酸味、品種や産地の特徴を出したいのであれば、やはり生豆の鮮度は大切です。
一方、ブレンドでは必ずしも「一番新しい豆だけが正解」とは考えていません。
ブレンドの中には、特定の豆の個性を強く出すより、全体をまとめたり、飲みやすさを作ったりする役割の豆もあります。
そういうときは、パストクロップの少し落ち着いた風味がうまくハマることもあるのです。
生豆の新しさだけを見るのではなく、そのコーヒーでどんな味を作りたいのかによって使い分けています。
生豆を買うなら「いつ収穫されたか」も見てみる
最近は一般の方でも、インターネットでコーヒーの生豆を買えるようになりました。
そのとき、産地や品種だけでなく「収穫年度」や「クロップ」の情報も見てみると面白いです。
丁寧に記載しているショップもあれば、あまり詳しく書かれていないこともあります。
僕自身、生豆を仕入れるときには、いつ収穫された豆なのかをできるだけ確認しています。
普段コーヒーを飲むだけなら、生豆の収穫年まで気にする必要はありません。
でも、コーヒー屋さんで産地や農園の説明を見かけたときに、「これはいつ収穫された豆なんだろう?」と少し意識してみる。
それだけでも、コーヒーの見え方が少し変わります。
僕らが普段飲んでいる一杯も、もともとは収穫された農作物です。
焙煎や抽出だけでなく、その前の「生豆」に目を向けてみると、コーヒーはもう一段面白くなると思います。
◾︎動画でも解説しています
Instagramでもコーヒーの楽しみ方を発信中ですので、ぜひご覧ください。
◾︎筆者

SCENE FACTORY COFFEE ROASTERS代表
篠田 拓也
SCAJ公認アドバンスドコーヒーマイスター
SCAJ公認サーティファイドスペシャルティーコーヒーカッパー
