ブレンドコーヒーはなぜ安い?シングルオリジンとの違いと、ブレンドする理由|SCENE COFFEE NOTE
「ブレンドコーヒーは、シングルオリジンより安い」
そんなイメージを持っている方は、けっこう多いのではないでしょうか。
確かに、お店のラインナップを見ると、農園や品種を限定したシングルオリジンより、ブレンドコーヒーのほうが手頃な価格になっていることがあります。
では、なぜブレンドコーヒーは安いのでしょう。
「品質の低い豆を混ぜているから」と思われるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
もちろん、原価を抑えることを目的に複数の豆を組み合わせるブレンドもあります。
ただ、私たちがブレンドを作る理由は、それだけではありません。
たくさん作れるから価格を抑えやすい。そして、ブレンドだからこそ表現できる味やコンセプトがある。
私は、むしろそこにブレンドコーヒーの面白さを感じています。
ブレンドコーヒーとは?
ブレンドコーヒーとは、複数のコーヒー豆を組み合わせて作るコーヒーのこと。
たとえば、ブラジルとコロンビア、エチオピアを組み合わせたり、異なる焙煎度の豆を合わせたり。
組み合わせ方によって、味のバランスや香りを調整できます。
一方、ひとつの国や農園、地域などに由来するコーヒーを楽しむのがシングルオリジン。
シングルオリジンでは、その産地や品種、生産処理が生み出す個性に注目します。
それに対してブレンドは、複数の豆を材料にして、ひとつの味を作るコーヒー。
少し料理に近い感覚かもしれません。
ブレンドが安い=品質が悪い、ではない
ブレンドには、価格を抑える目的で作られるものもあります。
比較的安価な豆をベースにしながら、香りや甘さに特徴のある豆を加え、全体としておいしいコーヒーに仕上げる方法。
これも、ブレンドのひとつの考え方です。
ただし、「ブレンドだから安い」「安いから品質が悪い」と単純に結びつけることはできません。
ブレンドが手頃な価格になりやすい理由のひとつは、お店の定番商品として、まとまった量を作りやすいことにあります。
これは飲食店の日替わりランチなどのメニューと同じです。
同じ料理をたくさん作れば、仕込みをまとめられる。
材料も計画的に使いやすく、ロスも減らせます。
コーヒーでも、定番のブレンドとして一定量を継続的に焙煎できれば、少量ずつさまざまな商品を作るより、製造や在庫管理を効率化しやすくなります。
3人のお客様が違うコーヒーを3種類注文すると3回抽出が必要ですが、同じブレンドが3杯なら、抽出も1回で済み、人件費も抑えられます。
結果として、品質を落とさなくても価格を抑えられるということです。
単純に、原価の品質が低いのではなく、他の点でコストが抑えられる。
ブレンドが安い理由は、そういう場合もあるのです。
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ブレンドは、お店の「看板商品」になりやすい
私は、ブレンドコーヒーにはもうひとつ大きな魅力があると思っています。
それが、お店の考え方をコーヒーに込めやすいこと。
シングルオリジンの場合、どうしても産地や農園、品種といった情報が主役になります。
「エチオピアのこの地域で作られたコーヒー」
「この品種を、この生産処理で仕上げた豆」
もちろん、それがシングルオリジンの面白さです。
一方、ブレンドはもっと自由。
「朝9時に飲みたいコーヒー」
「雨の休日にゆっくり飲みたいコーヒー」
そんな情景から味を作ることもできます。
私たちSCENE FACTORYのコーヒーにも、時間やシーンをイメージして作ったブレンドがあります。
どんな豆を使うかだけではなく、どんな時間に、どんな気持ちで飲んでほしいのか。
そこから逆算して味を組み立てていく。
この作り方は、シングルオリジンではなかなかできません。
ブレンドは「豆を混ぜる」だけではない
ブレンドという言葉だけを見ると、何種類かの豆を混ぜただけのものに思えるかもしれません。
でも実際には、組み合わせによって味はかなり変わります。
甘さを土台にする豆。華やかな香りを加える豆。余韻やコクを作る豆。
それぞれの役割を考えながら、比率を調整してひとつの味へ。
狙った味にならなければ、豆そのものを変えることもあります。
だから、私にとってブレンドは、シングルオリジンより一段下のコーヒーではありません。
むしろ、焙煎所の考え方がかなり出る商品。
どんな味を「おいしい」と考えているのか。
その店が、どんなコーヒーを届けたいと思っているのか。
ブレンドを飲むと、そのお店の個性が見えることがあります。
ブレンドコーヒーを選ぶときは「なぜこのブレンドなのか」を見る
ブレンドコーヒーを購入するとき、価格や使われている豆だけでなく、そのブレンドが作られた理由にも注目してみてください。
お店のWEBサイトを読んでみる。
パッケージの説明を見る。
分からなければ、店員さんに「これはどんなイメージで作ったブレンドですか?」と聞いてみる。
そこに、その店ならではの考え方が見えてくるかもしれません。
価格を抑えるためのブレンドもあれば、味を安定させるためのブレンドもある。
そして、伝えたい情景やコンセプトを表現するためのブレンドもあります。
「ブレンド=安いコーヒー」と考えるのは、少しもったいない。
私は、ブレンドだからこそできる表現があると思っています。
シングルオリジンとは違う方向から、コーヒー屋さんの個性を楽しめる。
それが、ブレンドコーヒーの面白さです。
◾︎動画でも解説しています
Instagramでもコーヒーの楽しみ方を発信中ですので、ぜひご覧ください。
◾︎筆者

SCENE FACTORY COFFEE ROASTERS代表
篠田 拓也
SCAJ公認アドバンスドコーヒーマイスター
SCAJ公認サーティファイドスペシャルティーコーヒーカッパー
