コーヒーの抽出温度を95℃・80℃・50℃で比較。浅煎りでも低温がおいしい?|SCENE COFFEE NOTE
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浅煎りのコーヒーは、高い温度のお湯で淹れる。
コーヒーの抽出について調べると、よく目にする考え方です。
浅煎りの豆は成分が溶け出しにくいため、90〜95℃ほどの高温でしっかり抽出する。
反対に、深煎りは苦味や渋味が出すぎないよう、少し低い温度を使う。
理屈としては分かります。
ただ、実際に温度を変えて飲み比べてみると、必ずしもセオリーどおりになるとは限りません。
今回、同じ浅煎りのコーヒー豆を使い、約95℃、80℃、50℃の3つの温度で抽出。
その中で私が最も好きだったのは、意外にも80℃でした。
お湯の温度が高いほど抽出は進みやすい
一般的に、お湯の温度が高いほど、コーヒーの成分は溶け出しやすくなります。
高温で淹れたコーヒーは、香りや酸味、甘味、苦味など、豆に含まれるさまざまな成分を引き出しやすい傾向。
一方、温度を下げると抽出は穏やかになります。
苦味や渋味を抑えやすい反面、温度が低すぎると、味が薄くなったり、十分な甘さを感じられなかったりすることもあります。
そのため、浅煎りは高温、深煎りは低温という考え方が、ひとつの目安として使われています。
ただし、あくまで目安。
豆の種類、焙煎の仕方、挽き目、注ぎ方によって、適した温度は変わります。
80℃は甘さと飲みやすさのバランス
最初に淹れたのは、80℃のお湯。
一般的な浅煎りのレシピとしては、やや低めの温度です。
実際に飲んでみると、酸味が穏やかで、甘さも感じやすい仕上がり。
強い刺激がなく、素直においしいと感じました。
高温でしっかり抽出したコーヒーに比べると、香りや味の情報量は少し控えめかもしれません。
その代わり、引っかかるような渋味や、強すぎる酸味も少ない印象。
私にとっては、豆の個性を強く見せるというより、全体を飲みやすくまとめたような味でした。
50℃でも意外とおいしかった
続いて試したのが、50℃のお湯。
私自身、ここまで低い温度でハンドドリップするのは初めてでした。
お湯を注いだときの粉の膨らみ方も、普段とはかなり違います。
手が覚えている感覚と合わず、少し戸惑う抽出。
完成した液体も、見た目から明らかに色が薄く、成分が十分に出ていないことが分かります。
ところが、飲んでみると意外においしい。
味に厚みがあるわけではありません。
華やかな香りや強い甘さが出ているわけでもない。
それでも、するっと飲める軽さがありました。
酸味や苦味の角が少なく、非常にやさしい味わい。
しっかりとしたコーヒーを求める方には物足りないと思いますが、酸味や苦味が苦手な方には、こうした抽出も面白いかもしれません。
低温で淹れることは、単に味を薄くするだけではない。
刺激の強い部分を抑え、軽やかな飲み物へ変える方法でもあると感じました。
約95℃では豆の特徴が強く表れた
最後は、約95℃の高温。
浅煎りの豆に使われることが多い温度帯です。
完成したコーヒーは、ほかの2つと比べて明らかに色が濃く、香りも強い仕上がり。
豆が持つ酸味や風味が、最もはっきり表れていました。
一方で、今回の豆と抽出条件では、少し渋さや強い酸味も感じました。
もちろん、高温だから必ず渋くなるわけではありません。
挽き目を粗くする、抽出時間を短くする、注ぎ方を穏やかにするなど、ほかの条件を調整すれば印象は変わります。
ただ、湯温だけを変えた今回の比較では、私には少し味が強すぎました。
情報量は多いけれど、飲みやすさでは80℃のほうが上。
そんな結果です。
浅煎りでも低い温度が合うことがある
浅煎りは高温で淹れる。
これは、決して間違った考え方ではありません。
浅煎りの個性や甘さを十分に引き出すには、高い温度が有効なことも多くあります。
ただ、高温で引き出された味を、自分がおいしいと感じるかどうかは別の話。
今回の検証では、95℃よりも80℃のほうが、酸味と甘さのバランスがよく、素直に飲みやすいと感じました。
セオリーとは違う結果。
正直、少しコメントに困るところでもありました。
それでも、コーヒーは理論上の正解を当てるものではありません。
最終的には、飲んだ人がどの味を好きだと感じるか。
そこが一番大切だと思っています。
▪︎関連記事:浅煎り・中煎り・深煎りの違いとは?酸味・苦味・甘さを分かりやすく解説
コーヒーの適温は豆と好みで変わる
コーヒーの抽出温度に、すべての豆へ共通する正解はありません。
高温では、豆の成分や個性をしっかり引き出しやすい。
低温では、酸味や苦味を穏やかにし、軽く飲みやすい味を作りやすい。
どちらが上ということではなく、目指す味の違いです。
浅煎りの酸味が強いと感じるなら、挽き目やレシピを変える前に、まず温度を5〜10℃下げてみるのもひとつ。
普段95℃なら90℃。
90℃なら85℃。
同じ豆を使い、温度だけを変えて飲み比べると、自分の好みが分かりやすくなります。
セオリーを知ったうえで、一度そこから外れてみる。
その先に、自分にとって本当においしい一杯が見つかることもあります。
◾︎動画でも解説しています
Instagramでもコーヒーの楽しみ方を発信中ですので、ぜひご覧ください。
◾︎筆者

SCENE FACTORY COFFEE ROASTERS代表
篠田 拓也
SCAJ公認アドバンスドコーヒーマイスター
SCAJ公認サーティファイドスペシャルティーコーヒーカッパー
