古いコーヒー豆はなぜ膨らまない?1年半放置した豆で実際に検証|SCENE COFFEE NOTE
「古いコーヒー豆は、お湯を注いでも膨らまない」
ハンドドリップをしている方なら、一度くらい聞いたことがあるかもしれません。
実際、焙煎から時間が経った豆は、新鮮な豆に比べると膨らみにくくなります。
では、かなり古くなった豆ではどのくらい違うのでしょうか。
ちょうど店頭に、ディスプレイ用として約1年半置きっぱなしになっていたコーヒー豆がありました。
密閉容器に入れていたわけでもなく、ずっと空気に触れた状態。
さすがに商品として使えるものではありません。
今回はこの豆を使って、実際にどんな抽出になるのか試してみました。
古い豆が膨らまなくなる理由
コーヒー豆がハンドドリップで膨らむ大きな理由は、焙煎後の豆に残っている炭酸ガスです。
焙煎すると豆の内部に炭酸ガスが発生し、その後、時間をかけて少しずつ外へ抜けていきます。
新鮮な豆にお湯を注ぐと、このガスが一気に放出されるので、粉がぷくっと膨らみます。
反対に、焙煎から長い時間が経った豆は、すでにガスの多くが抜けているため、同じようにお湯を注いでも膨らみにくい。
今回の豆は1年半も空気にさらされているので、かなり極端な例です。
挽いた時点で、香りがかなり違う
まず豆の状態を見ると、表面に出ていた油も乾いたような見た目になっていました。
そして、挽いた瞬間。
いつものコーヒーとは、明らかに香りが違います。
「コーヒーのいい香り」というより、少し曇ったような、僕自身もあまり嗅いだことのない香り。
普段使っているミルに入れるのはちょっと嫌だったので、今回はもう使っていないミルを引っ張り出してきました。
この時点で、鮮度のいいコーヒーとの違いはかなり分かります。
お湯を注いでも、ほとんど膨らまない
実際にお湯を注いでみると、やはり粉はほとんど膨らみませんでした。
新鮮な豆なら、蒸らしのときに粉全体が持ち上がって動いているように見えることがあります。
今回の豆には、それがほとんどありません。
お湯を注ぐと、そのまますっと下へ抜けていくような感じです。
180gまで注ぎましたが、抽出が終わるのもかなり早めでした。
豆の中に炭酸ガスが多く残っていると、お湯を注いだときにガスが放出され、そのぶん粉の中でのお湯の流れにも影響します。
今回はガスがほとんど残っていないため、いつもよりスムーズにお湯が抜けていったように感じました。
ドリップバッグの2年物とは、状態がかなり違った
以前、2年以上前に作ったドリップバッグコーヒーも飲み比べたことがあります。
そちらも風味はかなり落ちていましたが、今回の豆とは保存状態がまったく違います。
ドリップバッグは個包装されているので、袋の中に入っている酸素が少なく、外気にも直接触れません。
一方、今回の豆は1年半ずっと開放された状態。
同じ「古いコーヒー」でも、保管方法によって劣化の進み方は大きく変わることがよく分かります。
膨らまないことより、香りや味を見る
今回の豆は、見事なくらい膨らみませんでした。
そういう意味では、「古くなると膨らみにくくなる」という現象を確認するには、とても分かりやすい例だったと思います。
ただ、以前の記事でも書いたように、膨らまないことだけで豆の良し悪しを判断するのはおすすめしません。
浅煎りはもともと深煎りほど大きく膨らまないことがありますし、焙煎から少し時間が経ってガスが落ち着いた豆でも、おいしく飲めることはあります。
大切なのは、膨らむかどうかだけではなく、香りや風味も含めて見ること。
今回のように1年半も空気に触れ続けた豆になると、膨らみ方だけでなく、香りの時点ですでに大きな変化がありました。
コーヒー豆の鮮度を見るとき、蒸らしの膨らみはひとつのヒントにはなる。
でも最後に見るべきなのは、やっぱり出来上がった一杯です。
今回の検証をしてみて、改めて鮮度と保存の大切さを感じました。
◾︎動画でも解説しています
Instagramでもコーヒーの楽しみ方を発信中ですので、ぜひご覧ください。
◾︎筆者

SCENE FACTORY COFFEE ROASTERS代表
篠田 拓也
SCAJ公認アドバンスドコーヒーマイスター
SCAJ公認サーティファイドスペシャルティーコーヒーカッパー
