ハンドドリップは最後まで落とし切ると雑味が出る?実際に比較してみた|SCENE COFFEE NOTE
ハンドドリップについて調べていると、
「最後の一滴まで落とすと雑味が出るので、途中でドリッパーを外したほうがいい」という話をよく見かけます。
僕たちの動画にも、「最後まで落とし切ったら雑味が出るんじゃないですか?」というコメントをいただきました。
確かに昔からよく聞く話です。
でも、本当に最後まで落とすだけでコーヒーはまずくなるのでしょうか。
気になったので、実際に飲み比べてみることにしました。
最後まで落とす場合と、途中で止める場合を比較
今回使ったのは、エチオピアの中浅煎り。SCENE FACTORY COFFEEではミディアムローストと呼んでいる焙煎度です。
まず一杯目は、180gのお湯を注ぎ、そのまま最後まで落とし切りました。
二杯目は、出来上がるコーヒーの量が一杯目と同じになるようにしながら、ドリッパーの中にまだお湯が残っている段階で抽出を終了。
つまり、「最後まで落とす場合」と「途中でドリッパーを外す場合」を飲み比べます。
実際に飲んでみると、風味にはかなり分かりやすい違いがありました。
落とし切ったコーヒーも、普通においしい
まず、最後まで落とし切ったコーヒー。
飲んでみると、普通においしいです。
甘さも感じられて、「最後まで落としたから明らかに嫌な味が出た」という印象はありませんでした。
一方、途中でドリッパーを外したコーヒーは、落とし切ったものと比べると、少しクリアで透明感のある印象。
最後まで落としたほうは、もう少しボディがあり、重さを感じます。
味は確かに違います。
ただ、ここで問題が出てきました。
実は、この比較だけでは「雑味」を検証できていなかった
飲み比べながら、ふと気づきました。
これ、条件がちゃんとそろっていないんですよね。
最後まで落としたほうは180gのお湯を使って、そのまま抽出を終えています。
一方、途中で止めたほうは、出来上がり量をそろえるために、より多くのお湯を注いだうえで途中でドリッパーを外しています。
つまり、違っているのは「最後まで落としたかどうか」だけではありません。
注いだお湯の量も違えば、粉とお湯が触れている時間や、抽出の進み方も違います。
最後まで落としたほうにボディ感があったのも、「最後の一滴に雑味があったから」とは限りません。
単純に抽出条件が違ったことで、多くの成分が出ていた可能性もあります。
ここまで考えると、今回の比較だけで、
「最後まで落とすと雑味が出る」とは結論づけられませんでした。
風味は変わった。でも、原因までは分からない
今回分かったのは、最後まで落とす場合と途中で止める場合で、コーヒーの風味は確かに変わったということです。
途中で止めたほうは比較的クリア。
最後まで落としたほうは、もう少ししっかりした飲み口になりました。
でも、その違いが本当に「最後に落ちてくる液体」によるものなのかは、今回の方法では分かりません。
ここは、やってみて初めて気づいたところでした。
検証動画をやっていると、ときどきこういうことがあります。
最初は「これで比べられる」と思っていても、実際にやってみると別の条件も変わっていたり、思ったほど単純ではなかったりする。
でも僕は、こういう結果もそのまま出したほうが面白いと思っています。
「最後の一滴には雑味がある」と決めつけなくてもいい
ハンドドリップでは、抽出時間が長くなったり、お湯と粉が触れている状態が変わったりすれば、当然カップの味も変わります。
だから、途中で止めること自体に意味がないという話でもありません。
ただ、「最後の一滴には雑味が詰まっているから、必ず捨てるべき」と考えるのは、少し単純すぎる気がします。
少なくとも今回、最後まで落としたコーヒーは普通においしく飲めました。
最後まで落としておいしくなるレシピもあれば、途中で止めたほうがクリアに仕上がるレシピもある。
大切なのは、最後の一滴だけを見るのではなく、挽き目や湯温、注ぐ量、抽出時間まで含めてレシピ全体で考えることだと思います。
この検証は、もう一度やってみたい
今回の検証は、結果的に100点の比較にはなりませんでした。
でも、「最後まで落としたら本当に雑味が出るのか?」という疑問は、むしろ前より深くなりました。
さらに、豆、焙煎度によっても結果は変わりそうですね。
次にやるなら、途中まではまったく同じ条件で抽出して、最後に落ちてくる液体だけを別の容器に取って飲んでみる。
そうすれば、最後の部分にどんな風味が含まれているのか、もう少し分かりやすく比較できそうです。
今回の結論は、
最後まで落とすかどうかで風味は変わった。でも、「最後まで落とすと雑味が出る」とまでは言えなかった。
です。
こういう昔から言われているコーヒーの常識を、実際に試してみる。
白黒はっきりしないこともありますが、僕はそこもコーヒーの面白いところだと思っています。
◾︎動画でも解説しています
Instagramでもコーヒーの楽しみ方を発信中ですので、ぜひご覧ください。
◾︎筆者

SCENE FACTORY COFFEE ROASTERS代表
篠田 拓也
SCAJ公認アドバンスドコーヒーマイスター
SCAJ公認サーティファイドスペシャルティーコーヒーカッパー
