ハンドドリップ、1投と3投でコーヒーの風味が変わるのか?|SCENE COFFEE NOTE
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ハンドドリップのレシピを見ると、お湯を一気に注ぐものもあれば、何回かに分けて注ぐものもあります。
「結局、何回に分けるのがおいしいのか?」
これは、なかなか答えのないテーマです。
そこで、同じコーヒー豆、同じ湯量で、
- 蒸らし後に一度で注ぐ「1投」
- 3回に分けて注ぐ「3投」
を飲み比べてみました。
結果は、思っていた以上にはっきり。
抽出時間だけでなく、風味にもちゃんと違いが出ました。
早速みていきましょう。
同じ豆・同じ湯量で1投と3投を比較
使用したのは、ブラジルの中煎りコーヒー。
豆は13g、お湯は90℃、総湯量は200g。
できるだけ条件をそろえたうえで、注ぎ方だけを変えて比較しました。
まず50gのお湯で蒸らし、その後、1投では残りのお湯を続けて200gまで注ぎます。
3投では、50gずつ時間をあけながら注ぎ、最終的に同じ200gへ。
使っている豆も、お湯の量も同じ。
違うのは、お湯をどう分けて注ぐかだけです。
大きく違ったのは抽出時間
実際に淹れてみて、まず大きく違ったのが抽出時間でした。
1投は、お湯をまとめて注ぐので比較的早く抽出が終わります。
一方の3投は、一度注いだお湯が落ちてから次のお湯を加えるため、そのぶん全体の抽出時間が長くなりました。
抽出後の液体を見ても違いは一目瞭然で、1投よりも3投のほうが明らかに色が濃く出ています。
飲んでみると、その印象はさらに分かりやすいものでした。
1投はすっきりとして軽い味わい。
3投は、甘さやコクも含めて、コーヒーの味がもう少ししっかり出ています。
分けて注ぐことで、抽出時間だけでなく、粉がお湯に触れている状態や攪拌のされ方も変わります。
今回のレシピでは、そうした違いがそのまま風味にも表れたように感じました。
1投と3投の違いを比較
今回の結果をまとめると、こんな感じです。

今回の条件では、1投はすっきりと軽やか、3投はもう少し味がしっかり出る結果になりました。
もちろん、これは今回使った豆とレシピでの比較です。
豆の種類や挽き目、湯温、注ぐ勢いが変われば結果も変わるので、「1投なら必ず軽い」「3投なら必ず濃い」と覚えるというより、ひとつの傾向として見てもらうのがよいと思います。
1投には、すっきり抽出する魅力がある
では、3投のほうが優れているのかというと、そうでもありません。
1投で短時間に抽出する方法にも、ちゃんと魅力があります。
たとえば、豆を少し多めに使って短時間で抽出する方法。
すべての成分をしっかり取り切るというより、自分が欲しいところを中心に取り出して、すっきり仕上げるイメージです。
「たくさんの豆を使って、短く抽出する」という少し贅沢な淹れ方ですが、クリアで軽やかなコーヒーを飲みたいときには、僕はこういう抽出も好きです。
3投は豆の味をしっかり引き出しやすい
反対に、3投はある程度時間をかけながら、豆の成分をしっかり引き出していく方向です。
以前は、抽出しすぎると苦味や雑味が出るので、「おいしいところだけ取る」という考え方をよく聞きました。
もちろん、それが間違っているとは思いません。
ただ最近は、品質のいいコーヒー豆なら、しっかり抽出しても嫌な味が出にくいな、と感じることが増えています。
むしろ、甘さや香り、余韻までちゃんと出てくれる。
今回の3投も、そんな印象でした。
しっかり出して、それでもおいしい。
最近は、この方向の抽出にも面白さを感じています。
注湯量を細かく計測すると再現しやすい
3投には、もうひとつメリットがあります。
レシピを数字で管理しやすいことです。
たとえば、「30秒で50g、次に100g、最後に200g」というように時間と湯量を決めておけば、毎回かなり近い条件で淹れられます。
一方、1投の場合は、同じ200gのお湯を使っても、注ぐ速さによって結果が変わりやすくなります。
ゆっくり注ぐ人もいれば、勢いよく注ぐ人もいるためです。
家庭で自分ひとりが淹れるなら、それほど気にしなくてもよい部分かもしれません。
ただ、お店でスタッフ全員の味をそろえる場合は別。
時間と注湯量を細かく決められる3投のほうが、レシピを共有しやすいと感じます。
1投と3投、どちらが正解?
今回の比較では、1投はすっきりと軽やか、3投は味がしっかり出てバランスのよい仕上がりという違いがありました。
僕が今回の豆で選ぶなら、3投です。
甘さも感じやすく、全体のバランスもこちらのほうが好みでした。
とはいえ、すっきり飲みたい日なら1投も全然あり。
ハンドドリップは、お湯の温度や挽き目だけでなく、何回に分けて注ぐかでも味が変わります。
いつも3回に分けているなら、一度だけ一気に。
普段一気に注いでいるなら、今度は3回に分けて。
同じ豆で比べてみると、思っているより違いが分かるかもしれません。
◾︎動画でも解説しています
Instagramでもコーヒーの楽しみ方を発信中ですので、ぜひご覧ください。
◾︎筆者

SCENE FACTORY COFFEE ROASTERS代表
篠田 拓也
SCAJ公認アドバンスドコーヒーマイスター
SCAJ公認サーティファイドスペシャルティーコーヒーカッパー
