コーヒーの粉が膨らまないのはなぜ?鮮度だけではない3つの理由|SCENE COFFEE NOTE
ハンドドリップでお湯を注いだとき、コーヒーの粉がぷくっと膨らむ。
あの見た目が好きな方も多いと思います。
逆に、ほとんど膨らまないと「豆が古いのかな」「淹れ方が悪いのかな」と少し不安になることもありますよね。
でも、コーヒーの粉が膨らまないからといって、悪い豆とは限りません。
膨らみ方には鮮度だけでなく、焙煎度や豆に残っている炭酸ガスの量など、いくつかの要素が関係しています。
浅煎りより、深煎りのほうが膨らみやすい
まず知っておきたいのが、コーヒー豆にはもともと膨らみやすいものと、膨らみにくいものがあるということです。
特に違いが出やすいのが焙煎度。
コーヒー豆は焙煎が進むにつれて内部の構造が変化し、深煎りになるほど密度が低く、軽くなっていきます。
また、深く焙煎したコーヒーほど焙煎中に多くの炭酸ガスが生成され、豆の中に残りやすい傾向があります。
そのため、お湯を注いだときは浅煎りより深煎りのほうが、粉が浮き上がるように大きく膨らみやすい。
反対に浅煎りは、比較的密度が高く、深煎りほど派手に膨らまないことがあります。
なので、浅煎りを淹れて「あまり膨らまないな」と感じても、それだけで豆の状態が悪いとは言えません。
鮮度が落ちると、膨らみにくくなるのも事実
もうひとつ大きく関係するのが、焙煎後に豆の中へ残っている炭酸ガスです。
焙煎したコーヒー豆には炭酸ガスが含まれていて、時間の経過とともに少しずつ外へ抜けていきます。
ハンドドリップの蒸らしで粉が膨らむのは、お湯を注ぐことで、このガスが一気に放出されるためです。
焙煎から日が浅いコーヒーほど強く膨らみやすく、時間が経つほどその反応は小さくなっていきます。
その意味では、「よく膨らむ=比較的新しい豆」という判断は、ひとつの目安にはなります。
ただし、ここで注意したいのが、膨らまないからといって、おいしくないわけではないということです。
炭酸ガスが抜けたら、すぐ風味が悪くなるわけではない
個人的には、ここが一番誤解されやすいところだと思っています。
コーヒー豆から炭酸ガスが抜けていくこと自体と、「味が悪くなること」は完全に同じではありません。
もちろん、焙煎から時間が経てば、ガスだけでなく香りも少しずつ失われますし、酸素による酸化なども進んでいきます。
コーヒーは周囲の湿気やにおいの影響も受けやすいので、保存状態によっても風味の変化は変わります。
そうした変化が重なることで、最終的にコーヒーの風味は落ちていきます。
つまり、炭酸ガスが抜けたことそのものより、時間の経過や保存環境によって香りや油脂などが変化していくことのほうが、味を考えるうえでは重要です。
だから、「膨らまないから古くてまずい」と見た目だけで判断するのは、少し早いと思います。
豆は、挽いた瞬間からガスが抜けやすくなる
もうひとつ大きなポイントが、豆を挽くタイミングです。
コーヒー豆を粉にすると表面積が一気に増えるため、内部に残っていた炭酸ガスも急速に抜けやすくなります。
豆を挽いた瞬間に、すごくいい香りがしますよね。
あれは、豆の中に閉じ込められていた香りが一気に外へ出ているからです。
だから、おいしいコーヒーを飲むという意味でも、できれば淹れる直前に豆を挽く。
これはかなり大切だと思っています。
膨らませたいなら、3つの条件を意識する
もし「ハンドドリップで、粉がしっかり膨らむのを見たい」ということであれば、比較的深煎りの豆を使い、焙煎からあまり時間が経っていないものを選び、豆から挽いてすぐ抽出する。
この3つを意識すると、かなり膨らみやすくなります。
ただ、僕が一番伝えたいのは、膨らむこと自体をおいしいコーヒーのゴールにしなくていいということです。
特に浅煎りのコーヒーは、深煎りほど大きく膨らまないことがあります。
それでも、香りがきれいで、甘さがあって、おいしければ何の問題もありません。
「膨らまないから豆が悪い」「自分の淹れ方が下手なのかも」と考えずに、まずは出来上がったコーヒーを飲んでみる。
僕は、それでいいと思っています。
◾︎動画でも解説しています
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◾︎筆者

SCENE FACTORY COFFEE ROASTERS代表
篠田 拓也
SCAJ公認アドバンスドコーヒーマイスター
SCAJ公認サーティファイドスペシャルティーコーヒーカッパー
