コーヒーの蒸らしは必要?蒸らしあり・なしで濃度を比較してみた|SCENE COFFEE NOTE
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ハンドドリップでコーヒーを淹れるとき、最初に少量のお湯を注いでしばらく待つ「蒸らし」。
多くの抽出レシピに当然のように登場するため、「ハンドドリップでは必ず蒸らしをするもの」と考えている方も多いのではないでしょうか。
私自身もこれまで、蒸らしはコーヒーをおいしく抽出するために必要な工程だと考えてきました。
しかし、実際に蒸らしあり・なしでコーヒーを淹れ、濃度を測定してみたところ、意外な結果になりました。
今回は、コーヒーの蒸らしにはどのような役割があるのか、蒸らしをしないと味はどう変わるのかを考えてみます。
コーヒーの蒸らしとは?
蒸らしとは、コーヒー粉全体が湿る程度の少量のお湯を注ぎ、20〜40秒ほど待ってから本格的な抽出を始める工程です。
焙煎されたコーヒー豆には二酸化炭素が含まれています。
お湯を注ぐとコーヒー粉が膨らむのは、粉の中からガスが放出されているためです。
一般的には、最初にガスを抜いてコーヒー粉へお湯をなじませることで、その後の抽出を均一にしやすくなると考えられています。
特に、焙煎してから日が浅いコーヒーはガスを多く含み、蒸らしの際に大きく膨らむことがあります。
蒸らしあり・なしでコーヒーの濃度を比較

以前、同じコーヒー豆と抽出条件を使い、蒸らしをした場合と、蒸らしをせずにそのまま抽出した場合を比較しました。
実際に飲んでみた印象では、蒸らしをしたコーヒーのほうが、味がしっかりと出ているように感じました。
ところが、完成したコーヒーの濃度を測定すると、蒸らしありと蒸らしなしで、数値はほとんど同じでした。
もちろん、一度の検証だけで「蒸らしには意味がない」と結論づけることはできません。
使用する豆の焙煎度や鮮度、挽き目、お湯の注ぎ方によっても結果は変わる可能性があります。
それでも、蒸らしをしなければ明確にコーヒーが薄くなるとは限らない、という興味深い結果でした。
濃度が同じでも味が違って感じるのはなぜ?
コーヒーの濃度が同じだからといって、風味まで完全に同じになるとは限りません。
濃度計で分かるのは、飲み物の中にどれくらいの成分が溶け込んでいるかという全体的な量です。
酸味、甘味、苦味、香りなど、それぞれの成分のバランスまで個別に示すものではありません。
また、蒸らしによって粉全体がお湯になじみ、その後のお湯の通り方や抽出の均一性が変わる可能性もあります。
そのため、数値上の濃度が同じでも、香りや口当たり、味のまとまりに違いを感じることは十分に考えられます。
今回、蒸らしをしたほうが味をしっかり感じたのも、単純な濃さではなく、抽出された成分のバランスや香りの感じ方が異なっていたのかもしれません。
コーヒーの蒸らしは本当に必要?

現時点では、蒸らしは絶対に必要とも、まったく必要ないとも言い切れません。
焙煎直後でガスを多く含む豆では、蒸らしをしたほうが抽出を安定させやすい可能性があります。
一方、焙煎からある程度時間が経過し、ガスが少なくなった豆では、蒸らしの有無による差が小さくなることも考えられます。
また、蒸らしを省略できれば、ハンドドリップの工程がひとつ減り、より手軽にコーヒーを淹れられます。
大切なのは、「昔からそう言われているから」と固定観念で決めるのではなく、自分で飲み比べて確かめることです。
同じ豆、同じ挽き目、同じお湯の量で、蒸らしありと蒸らしなしを試してみてください。
濃さだけでなく、香り、甘味、酸味、口当たり、後味にも注目すると、違いを見つけやすくなります。
当たり前だと思っていた抽出工程を一度疑ってみると、自分に合った、よりシンプルなコーヒーの淹れ方が見つかるかもしれません。
◾︎動画でも解説しています
Instagramでもコーヒーの楽しみ方を発信中ですので、ぜひご覧ください。
◾︎筆者

SCENE FACTORY COFFEE ROASTERS代表
篠田 拓也
SCAJ公認アドバンスドコーヒーマイスター
SCAJ公認サーティファイドスペシャルティーコーヒーカッパー