日曜のレコードとコーヒー | コーヒーのある音 vol.1
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ジャケットからレコードを取り出し、プレイヤーに置いて静かに針を落とす。
ブッ......チリチリ......というノイズが鳴り、演奏が始まる。
2曲目が聴きたい。でもレコードでは曲をピンポイントで指定することが難しい。
デジタル音源なら、曲名をタップすれば、その曲が頭からすぐに聴けるのに。

レコードは、狙った場所から再生するのが難しいので、最初から最後まで通して聴くことが多い。
そうすると、不思議と「つまらない曲」が一曲もないことに気づく。
しばらくすると演奏が止まり、小さなノイズだけを残してレコードはくるくる回り続ける。
レコードには、1枚のアルバムが表面と裏面に分かれて収録されていることが多い。
続きを聴きたければ、プレイヤーのフタを開けて、レコードを裏返さなければならない。
なんて、面倒くさい。
しかもレコードは1枚が重くてデカくて場所をとる。新しい曲を聴きたければまた新しくレコードを購入しなければならない。
スマートフォンなら、月千円足らずで何万曲も聴けてしまうのに。
なんて、お金がかかるんだろう。
コスパもタイパも最悪。
でも、お金を払って買ったレコードは何度も聴いて心にしっかり残るし、面倒な再生方法は、1枚のアルバムという作品に向き合う時間の価値を高めてくれる。

日曜の朝に、コーヒーを淹れてレコードを流す時間がとても好き。
大量の情報に追われたり、不確定な未来を考えて不安になるのではなく、「今」に向き合い、心を落ち着けるためのルーティンみたいなものかもしれない。
コーヒーのハンドドリップも、同じだと思う。
マシンに豆を淹れてスイッチを押すだけではない。
どんな豆だっけ。今こんな気分だな。ドリッパーどれ使おう?お湯の温度は?挽目は?何分でどうやって淹れよう。
コーヒーを飲むこと。音楽を聴くこと。
煩わしく見えるこれらの方法は、その目的を達成するまでの手間や思考の量が違う。
だから、満足感も違うのかもしれない。
もっとも、そういった方法も慣れてくるとボーッとしていてもコーヒーが淹れられ、音楽が流れていたりする。
はじめて自分でコーヒーを美味しく淹れられたとき。
はじめてレコードから音が流れたとき。
あの、とてもワクワクしてキラキラする瞬間。
そんな瞬間を、もっとたくさん経験したい。
だから面倒なことでも、触れてみたくなるのだと思う。
writing:代表 篠田