焙煎度と風味の関係
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今回は、焙煎と風味の関係についてのお話しです。
生産国ごとの苦味や酸味
「インドネシアのマンデリンは苦みが強い」「タンザニアのキリマンジャロは酸味が強い」と聞いたことはないでしょうか。
生産国によって苦みや酸味をイメージすることはよくあります。しかし本来「生産国」や「品種」よりも、浅煎りや深煎りなどの「焙煎度」が、苦みや酸味に強く影響を与えます。
風味の成分量と割合に影響を与えるもの
コーヒーの生豆には、美味しさのもとになる「前駆物質」が含まれています。
※前駆物質については、こちらの記事「コーヒー豆の焙煎と定義」をご覧ください。
「前駆物質」などの成分の割合は「豆の品種」「育った環境」「生産処理」などによって変わってきます。つまり私達は、前駆物質である「風味の成分量と割合」を「豆の個性」と表現していると言えそうです。
個性を活かす焙煎
例外もありますが、風味の濃い豆は、深煎りにしても個性がしっかりと残ります。一方、風味のうすい豆は、深煎りにすると個性が目立たなくなる。
下記は「豆の個性を活かす焙煎」の分かりやすい一例です。
- 味が濃い豆 → 深煎りにする(浅煎りだと酸味が強すぎるため)
- 味のうすい豆 → 浅煎りにする(しっかりと個性を前に出してあげる)
焙煎度と風味の関係
そして下記が、焙煎度と風味の関係性です。
・焙煎度が深い → 苦み・甘さ・粘度が上がる
・焙煎度が浅い → 酸味が増し、香りやフレーバーが際立つ
基本的に、どちらかが増せばどちらかが失われる、という関係性です。
とはいえ、美味しいコーヒーは複雑で多面的な風味がするもの。深煎りでもその豆らしい酸味が感じられたり、浅煎りでもはちみつのような甘さのあるコーヒーも多くあります。
このように、ある程度あたりをつけてから焙煎を行い、実際に試飲を繰り返しながら焙煎を調整していきます。実際に焙煎をしてみると思っていたイメージと違って、大きくプランを変更することももちろんあります。
豆の個性の活かし方は、時代によってお客様の好みや流行が変化するため、正解はありません。以前と今では常識が変わっていったりもするわけです。